最終更新日:2025.10.03
補修・改修現場で活かす - KL工法 -

なぜ「仕上げ技術」が注目されるのか?
左官・土間コンクリートの仕上げ工程は、これまで熟練の職人技に頼る部分が大きかった。
しかし、職人の 高齢化・後継者不足、そして建設需要が 新築から補修・改修・ストック活用 にシフトする中で、仕上げ品質の安定性・耐久性・再現性 が求められている。
こうした課題に対して、機械化・プロセス化を進めた技術が「KL工法」であり、新しい土間仕上げの選択肢として注目されています。
この記事を書いた人

結城伸太郎
職歴:27年
得意分野:防水工事・外構工事・大規模改修管理業務
保有資格:1級建築施工管理技士、1級建築塗装技能士、1級ポリマーセメント防水、1級改質アスファルト防水、外壁1級仕上げ技能者、防水登録基幹技能者、外壁仕上基幹技能者、国際ライセンス サーモグラファーレベル1、監理技術者、職長安全衛生教育、他
KL工法とは?仕組みと技術的ポイント
KL工法は、機械式の特殊プラスチック鏝 を用いて、コンクリート打設後の床版面(または土間仕上げ面)を加圧・締固めて仕上げる工法。
従来の金鏝(手動鏝)仕上げでは難しかった、ある程度の均一性を持たせた仕上げを目指す。
- なぜプラスチック鏝か?
金属鏝は動かすときに熱を帯びてしまい、表面に「焼き付け」現象を起こすリスクがある。KL工法ではプラスチック鏝を使うことで、焼き付けを抑えつつ十分な加圧を可能とする。これにより、表面の緻密性を向上できる。 -
複数工程の組み合わせ
粗均し → 定木(天端調整) → 再振動締固め → 機械鏝仕上げ → プラスチック鏝による最終加圧仕上げ…など、複数の下準備・工程を踏みながら仕上げていく流れ。
再振動を使って空気や余剰水を排出することで、コンクリート内部をさらに緻密にする手法も併用。 -
NETIS 登録技術
この技術は、国土交通省の「新技術情報提供システム(NETIS)」に登録されております。

この記事を読めば、わかること
KL工法が使える場所・適用例
適用が難しい・注意したいケース
KL工法のメリット・強み(差別化要素として)
KL工法が使える場所(一例)
適用可能な場所 | 補足・制限条件 |
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橋梁の床版コンクリート仕上げ | 床版構造物において表面品質と耐久性を求められる案件で採用実績あり。 |
物流倉庫・工場床(土間コンクリート) | 直仕上げ型の床、広い平場での仕上げが求められる現場に向く。 |
コンクリート素地仕上げ | 上張り材料を使わない直仕上げスタイルにも適用可能。 |
適用が難しい・注意したいケース
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傾斜が急な床(勾配10%を超えるなど)では施工難度が高く、適用できない場合がある。
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表面に突起物・設備がある床面 → 均一な鏝の動きが妨げられる
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気象条件が悪い(降雨・極端な乾燥/高温・低温)など、施工管理が難しい環境
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施工幅員など物理的制約が小さい現場では不向きという制限もある。
KL工法のメリット
メリット
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品質の均一化・再現性:従来、熟練技術者に依存していた品質を、比較的再現しやすくできる可能性。
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耐久性・防水性の向上:表層部を緻密化することで水の浸入を抑え、劣化を遅らせる。耐久性に寄与する技術的アドバンテージ。
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美観向上:光沢・明るさを持つ仕上げが可能。仕上がりの見た目がアップする。
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公共工事でのアピール材料:NETIS 登録技術という肩書きが採用性を高める可能性。
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施工効率・省力化:機械化・制御工程を取り入れることで、人的負荷軽減や時間短縮効果も見込める。
まとめ
KL工法は、左官・土間仕上げの未来を切り拓く可能性を持つ技術です。
これまで“職人の勘”に頼ってきた見えにくい仕上げ技術を、数値化・制御可能なプロセスへと変えていくことで、業界全体に新しい風を吹き込むことができます。
FIELD EDGE では、このような先進的な技術を積極的に取り入れ、施工品質・提案力・信頼性をさらに高めていきたいと考えています。
そのためにも、早い段階から試験導入や検証を重ね、ノウハウを蓄積し、他社にはない差別化ポイントとして育てていきましょう。
お客様にとっても、職人にとっても、より安心で持続可能な左官の未来をつくる——それがFIELD EDGEの目指す姿です。